
はじめに
繊維製品業界は、伝統的な繊維メーカーから高機能素材や医療用製品を手がける企業まで、多様なプレイヤーが存在します。2025年現在、業界の構造は大きく変化しており、時価総額のランキングにもその影響が表れています。本記事では、繊維製品業界の時価総額トップ20社を紹介し、勝手にその中から3社をピックアップして企業研究を行います。
この記事では、CMなどで有名な企業しか見えない中、上場企業の中からピックアップし、企業研究や興味関心を拡げる機会になればと嬉しいです!
繊維製品業界の時価総額トップ20社(2025年5月時点)
- 東レ(3402):1,627,239百万円
- ゴールドウイン(8111):407,342百万円
- ワコールHD(3591):284,326百万円
- 帝人(3401):223,093百万円
- セーレン(3569):152,018百万円
- クラボウ(3106):115,020百万円
- ニッケ(3201):113,045百万円
- グンゼ(3002):105,836百万円
- ホギメディカル(3593):90,367百万円
- オンワードHD(8016):88,120百万円
- ワールド(3612):87,800百万円
- TSIホールディングス(3608):78,774百万円
- 東洋紡(3101):78,362百万円
- 片倉(3001):76,839百万円
- 帝繊維(3302):73,540百万円
- 富士紡HD(3104):55,464百万円
- 三陽商会(8011):36,189百万円
- 小松マテーレ(3580):31,061百万円
- ダイドーリミテッド(3205):28,271百万円
- 自重堂(3597):28,078百万円
注目企業の企業研究
以下の3社は、業界内で独自のポジションを築いており、今後の成長が期待されます。
1. ゴールドウイン(証券コード:8111)
- 概要:アウトドア・スポーツアパレルを中心に展開し、「ザ・ノース・フェイス」などのブランドを手がけています。
- 業績:2024年3月期の売上高は1,269億円(前期比10.3%増)、営業利益は238億円(同8.9%増)と堅調に推移しています。
- 特徴:エリア別の販売体制を導入し、地域特性に応じた戦略を展開しています。また、サステナビリティへの取り組みも積極的に行っています。
- https://finboard.jp/companies/JP:8111



ゴールドウインは、「スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現する」を企業理念に掲げ、スポーツ衣料・用品の企画・製造・販売を中心に事業を展開しています。同社は、「強い・速い・きれいな経営」を経営指針に掲げ、持続可能な企業体質の構築に取り組んでいます。また、2012年からタグラインとして「スポーツファースト」を掲げ、社員一丸となってスポーツの価値を追求しています。
主要な経営指標としては、ROE18%以上、D/Eレシオ0.3倍以下を目標に掲げています。収益性と効率性の向上に注力しつつ、財務基盤の強化にも取り組んでいます。
中長期的な経営戦略としては、以下の6つの施策に注力しています。
1. マルチブランド戦略の推進
2. 自主管理売場の強化
3. 商品力の優位性の確立
4. グローバル市場への挑戦
5. 新規事業の創出・確立
6. CSR・コンプライアンス体制の強化
特に、THE NORTH FACEブランドの成長余地の探求や、販売チャネルの多様化、環境配慮素材への移行、高ROE経営の継続などに注力しています。
ゴールドウインは、変化する顧客ニーズに柔軟に対応しながら、ブランド事業の収益基盤を強化し、企業価値の向上を目指しています。スポーツを通じた豊かな生活の実現に向けて、グループ一丸となって取り組んでいきます。
2. セーレン(証券コード:3569)
- 概要:高機能繊維を中心に、自動車内装材や医療用素材など多岐にわたる事業を展開しています。
- 業績:2024年3月期の売上高は1,116億円と、近年で最高水準を記録しています。
- 特徴:自動車内装材事業では、世界トップクラスのシェアを誇り、グローバル展開を加速しています。また、宇宙ビジネスや炭素繊維プリプレグ事業への進出も進めています。
- https://finboard.jp/companies/JP:3569



セーレンは、繊維技術を核とした多様な事業を展開するグローバル企業です。同社は、「21世紀のグッドカンパニー」を目指し、高い信頼を得られる企業経営を基本方針としています。この方針の下、企業構造の革新と企業体質の改革に積極的に取り組んでおり、社員一人ひとりが自主性・責任感・使命感を持って活動しています。
経営環境の変化に対応し、安定した収益確保と継続的な成長を目指すため、セーレンは以下の四つの基本戦略を掲げています。①IT化・ビジネスモデル転換、②非衣料・非繊維化、③グローバル化、④企業体質の改革です。これらの戦略を通じて、新しいビジネスモデルの構築、オンリーワン技術の活用による新規事業の創出、地球規模での事業展開、そして強い企業体質への転換を目指しています。
具体的には、デジタルトランスフォーメーションの推進、小ロット・短納期・在庫レス・オンネット・低コスト・省資源・省エネルギーを実現するビジネスモデルの完成、非衣料・非繊維分野への事業拡大、新興国市場での収益拡大、グループ経営の強化などに取り組んでいます。また、企業体質の改革においては、意識改革、研究開発力の強化、財務体質の強化、グループ連結経営の強化などを進めています。
セーレンは、これらの戦略を基に、素材から製品化、BtoBからBtoCへの転換を中期事業戦略として位置づけ、従来よりも付加価値の高い流通ポジションにおける販売事業拡大と高収益モデルへの転換に取り組んでいます。これにより、企業価値の向上と社会的責任の果たしを目指しています。
3. ホギメディカル(証券コード:3593)
- 概要:医療用ディスポーザブル製品を中心に、手術用キットや不織布製品などを製造・販売しています。
- 業績:2024年3月期の売上高は391億円(前期比0.3%増)、営業利益は41億円(同37.2%減)となっています。
- 特徴:手術室支援管理システム「オペラマスター」や再製造単回使用医療機器(R-SUD)など、医療現場の効率化と安全性向上に貢献する製品を提供しています。
- https://finboard.jp/companies/JP:3593



ホギメディカルは、医療進歩への貢献と社会の繁栄を目指し、患者と医療従事者の安全、医療機関の経営合理化に貢献する製品群の製造・販売を行っています。同社は、厳しい経営環境の中で、コスト削減や生産性の改善を継続し、安定的で継続的な製品供給を目指しています。特に、医療従事者の離職率が高止まりする中、医療安全と院内業務の生産性向上を両立させることが急務となっており、ホギメディカルは「プレミアムキット」の提案活動を通じて、医療機関の課題解決に貢献しています。
海外事業では、ASEAN諸国への製品導入を積極的に展開しており、新キット工場Ⅱ期の稼働により生産量増大と生産効率向上を図っています。また、R-SUD(単回使用医療機器再製造)事業にも注力しており、許認可取得件数の増加を見込んでいます。
経営上の課題としては、安全な製品の安定供給、継続的な利益成長、医療環境の変化への対応、内部統制システム・コンプライアンス体制の整備が挙げられます。これらの課題に対し、生産管理体制の強化、新製品の販売強化、生産性の向上、海外販売事業の拡大などの施策を通じて、企業価値の向上を図っています。
ホギメディカルは、医療業界におけるニーズに対応し、高品質な製品の提供を実現するため、製造から販売まで一貫した事業構造を持っています。これにより、アジア太平洋地域における医療業界への貢献を拡大しています。
おわりに
繊維製品業界は、伝統的な製品から高機能素材、医療用製品まで多様な分野で進化を遂げています。今回紹介した3社は、それぞれの分野で独自の強みを持ち、今後の成長が期待されます。業界の動向を把握し、企業研究を深めることで、より良いキャリア選択につながるでしょう。
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